●今月の読み切りコラム
4)朝鮮人参って、輸出してるの!
〜オタネニンジン酒〜
お店の開業準備期間のこと。
朝鮮人参を使ったメニューを作ろうと、原料調達を検討していました。
「確か、長野のどこかで“人参農協”というのを見たような気がする」。わずかな記憶を手繰って、テレホンサービスで電話番号を突き止め、連絡を入れてみました。朝鮮人参(オタネニンジン・薬用人参)だけを集荷・加工・販売しているという珍しい農協で、「収穫期が9月〜11月初旬だから、10月初めなら物が揃っているでしょう。」というので、その頃になって出かけた。
丸子町という所にあり、工場に入って最初に感じたのは、あの独特の匂いです。おばちゃん達が朝鮮人参を洗浄・選別しているところを見せてもらいましたが、匂いだけで元気になってしまいそうでした。その場で規格外品を安く分けてもらい、調理用の細いもの(間引きの2年根)はのちほど送ってもらうことになりました。事務所でお話を伺ったら、生や冷凍での出荷は少なく、ほとんどを加工・乾燥し、半分以上は香港や東南アジア方面に輸出するとのこと。 これじゃ、朝鮮人参じゃなく大和人参ですよ。ひょっとしたら、めぐりめぐって逆輸入しているかもしれない!?。 複雑な思いと親切を胸に、スズメバチ情報を追って農協をあとにしたのでした。
なお、乾燥加工品で紅参とか白参とかありますが、これは加工工程の違いにより形態が異なるだけで、もとは同じオタネニンジンです。ちなみに、生をそのまま乾燥したものが白参、蒸してから乾燥したものが紅参です。中国などで野人参と呼ばれ、高価に売られているのは野生の人参で、栽培品の10倍以上の値がついています。効果が10倍あるとは思えませんが。残念ながら、日本には自生しておりません。
ついでに、現在「にんじん」といわれているセリ科の赤い根の野菜は、明治以降に欧州から入ってきたもので、根が(薬用)人参に似ているので「にんじん」と呼ばれるようになり、調理・栽培が広く普及して、主客逆転してしまいました。江戸時代に人参といえば、高価な朝鮮人参を指しました。
◎朝鮮人参:ウコギ科 オタネニンジン 多年草
学名:Panax ginseng
生薬・人参は150g、生なら500g程度(共に刻むと抽出がよい)に25度(生は35度)以上の原酒1800mlを注いで漬け込む。2ヶ月(生は6ヶ月)くらいから飲める。なお、素材は入れたままでもよいが、原酒の注ぎ足しはせず、2番漬にする。
次へ
|